
「二級建築士は仕事がない」という声を聞いて不安になっていませんか。一級建築士と比べて扱える建物に制限があるため、そう思われがちです。しかし実際には、二級建築士にも数多くの仕事があります。この記事では、二級建築士の需要と活躍できる分野について詳しく解説します。
二級建築士は「仕事ない」といわれる理由
二級建築士は一級建築士と比べて扱える建物の規模に制限があることから「仕事の幅が狭い」「正社員になりにくい」といった声が聞かれることがあります。実際にどのような制限があり、なぜこうした誤解が生まれるのかを見ていきましょう。
設計できる建物に制限がある
二級建築士が設計できる建物には、法律で決められた制限があります。木造建築物の場合は3階建てまで、高さ13m以下、軒高9m以下に限られます。また延べ面積は1,000㎡以下でなければなりません。鉄筋コンクリート造や鉄骨造の場合、二級建築士が設計できる建築物は延べ面積300㎡以下のものに限られます。
こうした制限があるため、大型のオフィスビルや商業施設の設計には携われません。一方で一級建築士には建物の制限がなく、どんな規模の建物でも設計できます。この違いから「二級建築士は仕事の選択肢が少ない」と思われがちです。
一級建築士と比較されやすい
建築士の資格は一級建築士のほうが上位資格であり、社会的な評価も高い傾向にあります。そのため二級建築士は一級建築士と比較されることが多く「一級でなければ意味がない」と考える人もいます。実際に求人情報を見ると、一級建築士を優遇する企業も存在します。しかし建築業界全体で見れば、案件や企業の規模に応じた役割分担がなされており、二級建築士だからといって仕事がないわけではありません。資格の等級よりも、どのような分野で専門性を高めるかが重要です。
大規模建築の需要が高まっている
近年は都市部を中心に、マンションや商業ビルなど大規模な建築物の需要が高まっています。高齢化が進むことで、駅前の便利なマンションに人気が集まっているためです。こうした大型建築は一級建築士が担当するため、相対的に二級建築士の出番が少ないように見えます。
また大手のゼネコンでは一級建築士を求める傾向が強く、二級建築士では応募できない求人もあります。しかし建築業界全体を見れば、戸建住宅やリフォームなど二級建築士が活躍できる分野も数多く存在します。
実際には仕事の需要がある
「仕事がない」という声がある一方で、実際には二級建築士の需要は高い状態が続いています。住宅設計やリフォーム分野を中心に、二級建築士が中心となって活躍している現場は数多く存在します。ここでは実際の需要について解説します。
住宅設計の仕事が豊富
二級建築士がもっとも活躍するのは、一般住宅の設計分野です。日本の住宅の多くは木造の戸建住宅であり、二級建築士が設計できる規模におさまります。ハウスメーカーや工務店では、二級建築士の資格があれば十分に業務を担当できます。
住宅設計はひとつの家族が長く住む空間を作る仕事であり、デザインや住む人のライフスタイルに合わせた柔軟な発想力が求められます。子どもが生まれた後や老後の暮らしまで考えた設計が必要です。二級建築士の業務範囲内でも、やりがいのある仕事は数多くあります。
リフォーム分野で活躍できる
既存の建物を改修するリフォームやリノベーション分野でも、二級建築士の需要は高まっています。高度経済成長期に建てられた建物が老朽化しており、今後さらに改修工事が増えると予想されています。リフォームは新築と違い、既存の構造を活かしながら新しい価値を生み出す仕事です。耐震性の向上やバリアフリー化など、社会のニーズに合わせた改修が求められています。こうした分野では二級建築士が中心となって活躍しており、専門知識を活かせる場面が多くあります。
地方ではとくに重宝される
地方では戸建住宅や小規模な建築物が中心となるため、二級建築士が重宝されます。都市部では大規模建築が多く一級建築士の需要が高い一方で、地方の住宅設計やリフォームでは二級建築士が主役です。地域密着型の工務店や設計事務所では、二級建築士の資格で十分に活躍できます。
また地方自治体でも建築行政の業務に携わることができ、安定した働き方を選べます。建築業界全体では案件や企業の規模に応じた棲み分けが自然となされており、二級建築士にも活躍の場は豊富にあります。
建築士全体の人手不足
建築業界では深刻な人手不足が続いています。一級建築士の年齢構成を見ると、50代以上が全体の半数を超えており、20代と30代を合わせても50代以降の3分の1にも満たない状況です。建築士の高齢化が進む一方で、建築の需要は高い状態が続いています。解体工事の増加や新築、インフラ整備など、建築士が活躍する場面は今後も多いでしょう。こうした状況では二級建築士も貴重な人材であり、工事がある限り必要とされ続けます。
二級建築士が活躍できる分野
二級建築士として長く働き続けるためには、専門性を高めることが大切です。需要のある分野でスキルを磨くことで、二級建築士としての価値を高められます。ここでは具体的にどのような分野で活躍できるかを紹介します。
木造住宅の設計
木造住宅は日本の住宅の中で大きな割合を占めており、二級建築士がもっとも得意とする分野です。木造3階建てで延べ面積1,000㎡以下の建物であれば設計できるため、一般的な戸建住宅のほとんどが対象となります。木造住宅の設計では、構造の知識に加えて間取りやデザインの工夫が求められます。施主の要望を聞き取り、予算内で最適な提案をする能力が必要です。木造住宅に特化することで、専門家としての信頼を築けます。
耐震診断や耐震補強
地震の多い日本では、既存建物の耐震診断や耐震補強の需要が高まっています。古い建物は現在の耐震基準を満たしていないケースが多く、安全性を高める工事が必要です。二級建築士は耐震診断や補強設計に携わることができ、社会的にも重要な役割を果たしています。とくに木造住宅の耐震改修では、二級建築士の知識と経験が活かされます。今後も老朽化した建物は増え続けるため、この分野の需要は安定しています。
まとめ
二級建築士は一級建築士と比べて扱える建物に制限がありますが、仕事がないわけではありません。住宅設計やリフォーム、耐震診断など活躍できる分野は多くあります。とくに地方の住宅分野では二級建築士が中心となって活躍しており、建築士全体の人手不足も続いています。専門性を高めることで、二級建築士としてのキャリアを築いていけるでしょう。資格の等級よりも、どのような分野でスキルを磨くかが重要です。



