二級建築士として経験を積んできて、そろそろ次のステップに進もうと考えている人は多いのではないでしょうか。業界でのキャリアアップを目指すなら、さらなる専門知識とスキルを磨ける資格取得がおすすめです。本記事では、二級建築士の次に目指すべきおすすめの資格を紹介し、将来の選択肢を広げるための情報をお届けします。
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宅建士
宅地建物取引士(宅建士)は、不動産取引における重要な役割を担う資格で、売買や賃貸などの不動産流通を円滑に行うためのプロフェッショナルです。
宅建士は、不動産関連の法律に精通しており、取引物件に関する重要事項の説明や、重要事項説明書(35条書面)および契約書(37条書面)への記名・押印といった業務を行います。しかも、二級建築士と宅建士は専門とする分野が異なるため、両方の資格を取得することで、業務範囲が大幅に広がります。
たとえば、建築士として建物の設計や施工管理を行いつつ、宅建士として不動産の売買や賃貸契約に関わるため、複数の専門業務をひとりで担当できるようになります。これにより、建設業界や不動産業界では、幅広いスキルをもつ人材として重宝されるでしょう。
とくに就職や転職の際に、ダブルライセンスは大きな武器となります。企業からも高い評価を受けやすくなりますし、資格手当が付与されるケースも多く、資格取得による高収入も期待できます。
宅建士の資格取得について
宅建士の試験は誰でも受験が可能で、試験時間は2時間です。
合格ラインは毎年変わり、50点満点のうち34点から38点で推移しています。およそ70%の得点が必要とされ、合格率は令和5年実施の試験でも約17%と、決して高くありません。このため、しっかりとした対策が求められますが、取得すれば不動産業界でのキャリアにおいて大きなアドバンテージとなるでしょう。
土地家屋調査士
土地家屋調査士は、土地や建物に関する調査や測量、不動産の表示に関する登記手続きを専門とする国家資格です。
不動産取引や建物の新築・改築などの際に、その現状を正確に把握し、法務局へ適切に登記を行う役割を担います。土地や建物の売買、新築、分割などで発生する境界線や面積の確定を行い、それをもとに登記申請を代行することで、所有者や関係者の権利を守ります。
土地家屋調査士の仕事は、登記制度の維持や正確性に寄与するため、不動産取引や開発に欠かせない存在です。たとえば、土地の分割や合併、建物の新築・増築時に発生する登記手続きは非常に複雑で、専門的な知識と技術が必要です。
土地家屋調査士は、これらの手続きを所有者に代わって行い、正確な不動産情報を法務局に届けることで、不動産の円滑な取引と権利の保全をサポートします。
土地家屋調査士の資格取得について
土地家屋調査士の資格を取得するには、法務省が実施する試験に合格する必要があります。
試験は、午前と午後に分かれて行われ、筆記試験や実技試験が課されます。二級建築士の資格をもっている場合、試験のうち筆記試験の午前の部が免除されるため、すでに建築士資格をもつ人にとっては、有利に進められる点も特徴です。しかし、試験の合格率は8~9%と難関であるため、十分な準備と知識が求められます。
インテリアプランナー
インテリアプランナーとは、建築物の室内空間の企画・設計・工事監理などを専門とするプロフェッショナルです。
インテリアと建築に関する深い知識と実務経験を活かし、クライアントの要望やコンセプト、用途に応じた空間をデザインします。たとえば、壁紙や家具、照明といった材料やインテリアアイテムを選定し、最適な配置を行うだけでなく、空間の快適さや安全性にも配慮しながら設計を進めます。
また、インテリアプランナーは、単に美しい空間を作るだけでなく、時代の変化や社会的背景を踏まえたうえで、よりよい生活環境を提案することが求められる仕事です。提案を実際の設計や施工に反映させ、最終的に完成させることで、利用者が快適に過ごせる空間を実現します。
この点で、インテリアコーディネーターと比べても、インテリアプランナーの業務は建築家に近く、より高度な専門知識が必要といえるでしょう。
インテリアプランナーの資格取得について
インテリアプランナーになるには、公益財団法人建築技術教育普及センターが実施する試験に合格し、インテリアプランナー資格を取得する必要があります。
この試験には、インテリアや建築に関する幅広い知識が求められるため、関連する学科での学習や実務経験が有利に働きます。試験の合格率は約26%で、難関とはいえませんが、専門知識の習得と実務経験が求められるため、しっかりとした準備が必要です。
まとめ
宅建士、土地家屋調査士、インテリアプランナーは、それぞれ異なる専門分野で活躍する資格ですが、いずれも不動産や建築に関わる重要な役割を担っています。これらの資格を取得することで、キャリアの幅が広がり、より多くの場面で専門知識を活かせるようになるでしょう。また、複数の資格を組み合わせることで、業務の多様性が増し、クライアントへの提案力や信頼性が向上します。自分の目指すキャリアに合わせて、最適な資格取得を検討してみてください。