
建築業界でのキャリアを考えるうえで、二級建築士の資格は評価されやすく、活躍の幅を広げる要素のひとつといえます。企業によっては資格保有者を優遇する場合もあり、取得を目指す方は少なくありません。本記事では、二級建築士の業務内容、および平均年収について詳しく紹介します。
二級建築士の業務内容
二級建築士は、建築士法に基づいて小規模な建築物の設計および工事監理を行うことができる国家資格です。業務には明確な制限があり、建物の構造や用途、延べ面積、高さなどの条件にしたがって対応範囲が定められています。こうした法令を遵守しながら、実務を進める必要があります。また、令和4年の法改正により、将来的には3階建て・高さ16m以下まで対応可能となる見込みであり、業務範囲の拡大が期待されているのです。
二級建築士が担える業務範囲
建築士には一級建築士・二級建築士・木造建築士があり、それぞれ扱える建築物の規模が異なります。一級建築士はすべての建築物を対象に設計・監理が可能であるのに対し、二級建築士は比較的小規模な建築物に限定されるのです。
たとえば木造建築では、高さ13m・軒高9m以下であれば比較的大きな建物にも対応できますが、それを超える場合は階数や面積に制限が設けられます。さらに、鉄筋コンクリート造や鉄骨造といった木造以外の建築物では、より厳しい条件が課されるため、扱える案件は限定的です。
二級建築士の主な仕事内容
二級建築士の業務は主に設計業務と工事監理業務に分けられます。設計業務では、建築基準法などの関連法令に基づき設計図書を作成し、依頼者に対して内容を説明する責任を担います。作成した図面には建築士本人の記名が必要です。
一方、工事監理業務では、設計図どおりに工事が進んでいるかを確認し、不備があれば施工者に是正を求めます。さらに工事完了後には、建築主へ報告書を提出することも重要な役割です。これらの業務は法律により独占業務とされており、建築士資格をもつもののみが行える点も特徴です。
職場ごとにみる二級建築士の平均年収
二級建築士の平均年収は、新卒や20代前半の場合でおよそ350万〜460万円程度とされています。ただしこれはあくまで平均値であり、個人のスキルや経験、勤務先によって大きく差が生じます。実際には300万円未満のケースもあれば、500万円台に到達する人も存在します。このような年収差が生まれる主な要因のひとつが就職先です。
工務店
工務店に勤務する二級建築士の平均年収は、300万円前後とされており、全体平均と比較するとやや低めの水準です。工務店は地域密着型の小規模企業から複数拠点をもつ企業まで幅広く、会社の規模によって収入に差が出やすい特徴があります。規模の大きな工務店に就職できれば、年収アップも期待できます。
ハウスメーカー
ハウスメーカーの平均年収はおよそ470万円程度で、比較的安定した収入が見込める職場といえます。全国に拠点をもつ企業が多く、住宅設計に携わる機会も豊富です。二級建築士が関われる業務範囲とも親和性が高いため、志望者が多い傾向にあります。実務経験を積みながらスキルアップやキャリア形成を図る場としても有効です。
設計事務所
設計事務所の平均年収は約480万円とされており、住宅だけでなくマンションや店舗など幅広い案件に携われる点が特徴です。ただし、個人事務所から大手企業まで規模に幅があり、年収にも大きな差が出る傾向があります。また、大卒以上を応募条件とする場合も多く、採用のハードルはやや高めです。収入を重視する場合は、事務所の規模や実績を確認することが重要です。
ゼネコン
ゼネコンに勤務する場合、平均年収は約500万円前後とされ、ほかの就職先と比較して高めの傾向があります。大型商業施設の建設やプロジェクト全体のマネジメントなどに携わる機会が多く、経験を積むことで年収700万円以上に到達するケースもあります。なお、ゼネコンにもスーパーゼネコンから中堅企業までさまざまな規模があり、企業ごとに待遇や求められるスキルが異なるため、事前の確認が重要です。
年齢ごとにみる二級建築士の平均年収
二級建築士の年収は、年齢や経験の積み重ねによって大きく変化します。一般的にキャリアが進むにつれて収入は上昇し、一定の年齢をピークに緩やかに変動していく傾向です。20代では平均約370万円(月収約23万円)と比較的低めの水準ですが、30代になると約480万円(月収約30万円)まで上昇します。
さらに40代では約610万円(月収約38万円)、50代では約700万円(月収約43万円)と、経験や役職の影響により大きく収入が伸びる傾向です。一方、60代では約470万円(月収約29万円)とやや下がる傾向が見られます。
まとめ
二級建築士は、小規模建築を中心に設計や工事監理といった重要な役割を担いながら、着実にキャリアを築ける資格です。年収は就職先や年代によって幅があり、工務店からゼネコンまで職場の選択によって収入や働き方が大きく変わる点が特徴といえます。また、経験を積むことで年収アップも充分に期待でき、40代〜50代にかけては高水準に達する傾向があります。資格取得はあくまでスタートですが、その後の選択次第で将来性を大きく広げられる点が魅力です。自分に合った職場やキャリアプランを見据えながら、長期的な視点でスキルを磨いていくことが重要といえるでしょう。



