建築士は公務員としても働ける!どんな仕事をするの?
建築士というと、設計事務所や建設会社などで経験を積んで知識や技術を身につけるイメージがありますが、日本で多くの建築士が働いている職場があるのをご存知でしょうか。役所が職場となり、職業は公務員となります。どのような自治体でも、数多くの公共施設が存在しているためです。その役割は重要なもので、市民の生活に大きな影響を与えます。
公務員建築職とは
官公庁や自治体で働く職員を公務員と呼びます。採用された建築士が働くのは、国の官庁である国家公務員や都道府県庁で働く地方公務員としての2つに大別されるようです。
国家公務員
立法や司法、行政など、政府の根幹を支える国の機関が国家公務員の採用先となります。さまざまな省庁や職種で、スペシャリストとして公務を担っているのです。
地方公務員
採用された地域に密着した行政サービスを提供する地方自治体が採用先です。都道府県庁や市区町村の役所、教育部門、警察部門などで働く一般職と、選挙で選ばれる議会議員や自治体の首長などの特別職で構成されます。建築士の採用が多いのは地方公務員で、ほとんどが役所や役場で働いているようです。
仕事内容
主に地方自治体で働く、公務員建築職の仕事は多岐にわたりますが、建築士が所属する部門は大きく3つに分けられます。
建築物の建築や維持管理に関する部門
実際の設計や施工、工事管理などは外部に発注しますが、事業の計画立案や予算作成、入札などに関する事務処理、施工中の現場のチェックなどは公務員建築士が担っています。事業の計画立案や予算作成の場面でも、建築士の専門的な知識やスキルが必要となるでしょう。
法令に関する部門
建物を建てるときや土地の開発を行う場合は、さまざまな法令をクリアする必要があります。そのため、建築基準法などの法律に適合していることが証明されない限りは工事に着手できません。建築基準法に適合しているかどうかの証明は民間機関でも可能ですが、最終的な指導監督権限は役所にあります。そのほかの許認可関係の業務も含めて、法令関係の業務は公務員建築士の仕事の中で大きな割合を占めるのです。
街づくりに関する部門
どのような公共施設をどこに配置し、街づくりを進めていくか計画を立てるのも建築士の仕事です。イメージを形にすることから人気がありますが、定員が少ないことが多く、競争が激しいといわれています。
公務員の建築士のやりがい
街づくりを通して地域貢献
公務員の建築士は、地域住民の生活に深く関わりながら、専攻を活かした働き方ができる仕事です。公の建築物建造に携わるため、街づくりにも大きく貢献できるでしょう。
主な仕事内容は、建築指導・住宅関係・公共建築工事・都市計画の4つにわけられます。しかし、1つの仕事を長く従事するわけではないため、数年ごとに異動があります。
せっかく業務に慣れても、新たな業務を覚えることになるため、煩わしく感じる方もいるでしょう。しかし、建築に関わる多くの経験ができるので、決してデメリットにはなりません。
さまざまな仕事をこなすので、やりがいは非常に大きなものです。その大部分が、安心安全に生活できる街づくりや街を守るための作業になります。たとえば、住宅修繕や住環境整備、公共施設・公営住宅の安全管理などが挙げられます。
生活しやすい街づくりは、住民の生活環境を向上させ、貢献にもつながるでしょう。
住民・街を守る
住民が安心安全に生活できるように、安全管理や保全作業を行います。公務員の建築士は、いわゆる「技術職公務員」です。そのため、一般的な建築士とは仕事内容が異なり、住民や街を守るためのマネジメントも欠かせません。
実際に、公共施設や公営住宅の安全を守るための業務を担っており、縁の下の力持ちといってもよいでしょう。このように、公務員の建築士がいるからこそ、住民は安心してその街で生活が送れるのです。
ただし、地方公務員には都道府県と市町村の区別があるため、扱う地域によって仕事の進め方が違います。また地方で働く場合、自治体ごとに実施される採用試験に合格する必要があります。最近では、自治体の役割も大きくなっているようです。
建築の仕事に専念できる
異動はあるものの、さまざまな仕事に携われます。もちろんすべて建築関係になるため、専攻を活かして建築の仕事に専念できるでしょう。
また民間企業と比べて、予想外の突発的な事象で組織が不安定になりにくいのも特徴です。そのため、たとえ工事中止や契約取消があった場合でも、竣工計画への影響はほとんどありません。
最後まで安定した状態で仕事に携われます。とくに難易度が高い計画や計算が求められる建築職にとっては、プラスに働きやすいでしょう。
さらに、公務員の建築士には大きな仕事に携わるという魅力もあります。わかりやすいのが都市計画です。都市計画とは都市の未来を想定して街づくりを行うことですが、民間企業ではここまでの建設に携わることはできません。
スケールの大きな仕事はスキルアップやキャリアアップにもつながりますから、当然やりがいを感じられるでしょう。
メリット
収入が安定している
公務員には売上という概念はなく、給与は税金から出ているので、一般企業のように売上に応じて給与が変わるということはありません。
基本的にリストラされない
民間の企業と異なり、公務員には解雇やリストラのリスクはほとんどありません。一度採用されれば、よい成績をおさめなくても、その年の税収が少なくても解雇されることはないでしょう。
福利厚生が手厚い
公務員は1年目から20日の有給休暇を取得でき、地方公務員は取得促進が課題とされています。また、基本給以外に扶養手当や地域手当、住宅手当、超過勤務手当、期末・勤勉手当などさまざまな手当てが用意されており、これらを活用することでワークライフバランスの実現も可能です。
デメリット
スキルアップがしにくい
公務員は3~5年の単位で部署の異動があるため、ひとつのスキルを追及して身につけることが難しいといわれています。
給料が上がらない
民間企業と異なり、自分の達成した成果が給料という形で反映されることがなく、勤続年数で給料が決定されます。仕事ができる人でも過小評価されがちな点があるでしょう。
3年功序列
公務員は年功序列を基本とした組織体制を取っているため、上司の職務上の命令に忠実に従うことが求められます。トップダウンで指示されるため、上司に対して意見を述べることは難しいです。
公務員になるのが向いている人
プライベートを大切にして、収入よりも時間を重要視する人です。部門にもよりますが、さまざまな相談が飛び込んでくるでしょう。現場作業や製図よりも建築に関する相談を聞くのが苦に感じない人、新しい仕事を開拓して見つけるよりも与えられた仕事をこなしたい人、個々の建物の計画よりも街づくりに興味を持っている人、ひとつの仕事ではなくさまざまな業務にチャレンジしたい人、自分の暮らしている街をよくしたいと考えている人に向いている仕事です。
まず公務員試験を受ける必要がある
公務員建築職として働いていくためには、まずは公務員試験を突破することが必要です。公務員試験の建築職を目指すには、大きく2つの科目を勉強しなければなりません。公務員試験ではおなじみの数的処理や文章理解、自然科学や社会科学などの一般教養科目と法律や経済学などの専門科目です。国家公務員レベルになると製図を作成する科目もあるので、専門的な対策が必要となります。
政令指定都市などの大きな自治体では採用数は多いですが、小さい自治体では比較的採用数が少ないため、事前に採用数を確認したうえで受験しましょう。公務員の建築職について仕事の内容やメリット・デメリット、どのような人が向いているかなどを紹介しました。公務員の建築職は、国民のために規模の大きな仕事を建築という形で取り組めるやりがいのある仕事です。
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