令和2年から建築士試験の受験資格が改正!実務経験は必要?

公開日:2021/06/15   最終更新日:2024/06/07


令和2年の建築士法改正によって、建築士試験の受験資格について改正がありました。現在、建築士を目指している人、建築士になりたいと夢を描いている学生にとっては『どの点が変更になったのか?』はとても気になる話題ではないでしょうか。そこでこの記事では、建築士試験受験資格の改正内容を紹介します。興味のある人は参考にしてください。

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建築士の受験資格が改正建築士法により緩和された

2005年に発覚した、構造計算書偽造事件を知っていますか?この事件を機に、建築士試験が格段に厳しいものとなりました。受験者が減少し、人手不足になってしまったこともあります。しかし、改正建築士法により受験資格が緩和されました。

・実務経験なしで受験ができる
・実務経験として認められる幅が広がった
・学科試験免除の年数が延長

このような点が変更になったといわれています。

受験時の実務経験が不要になった

・大学、短大、高専、専門学校(指定科目を卒業した人):建築実務経験0年
・高校、中学(指定科目を卒業した人):卒業後3年以上
・建築整備士:建築実務経験0年
・都道府県知事が認めた人:所定の年数
・建築の学歴がない人:建築実務経験7年以上

今まで受験をするためには実務経験が必要でしたが、令和2年から受験資格に指定科目の単位を取得している人は実務経験が問われなくなりました。

建築関連の指定科目履修をする

建築士として活躍するためには、学校で建築関連の指定科目を履修する必要があります。指定科目は建築士の種類によって異なり、二級建築士は以の単位数をとることで受験資格が得られます。

わかりやすく表にまとめてみました。

科目 単位数
1.建築設計製図 3単位
2.建築計画 2単位
3.建築環境工学
4.建築設備
5.構造力学 3単位
6.建築一般構造
7.建築材料
8.建築生産 1単位
9.建築法規 1単位
1~10の合計 10単位
10.複合・関連科目 適宜
1~9+10の合計 40単位 30単位 20単位

7年間の実務経験を行う

建築関連の学歴がない場合や指定科目を履修していない場合でも、7年間の実務経験を行うことで受験資格の取得が可能になります。

実務経験とは、国土交通省が定めた業務のことで、建設設備の工事管理や施工管理、ビルメンテナンスなどが挙げられます。建築設備に直接関わっていない業務は該当しませんが、令和2年3月の建築法改正に伴い範囲が大幅に拡大されたため、建築物に関する調査・評価であっても申告ができます。

一方で、実務経験の証明も厳しくなっているので注意が必要です。

一級建築士の受験資格も得られる

指定科目を履修していなくても、7年間の実務経験があれば学歴に関係なく二級建築士として活躍できることがわかりました。また、二級建築士として合格後に登録申請を行うと、一級建築士の受験資格も取得できるようになります。

通常、一級建築士の免許登録は、二級建築士を取得したあと4年以上の実務経験が必要です。しかし、免許登録までに7年間の実務経験をクリアしていれば、建築士になったあともスムーズに活躍できます。

たとえば、大学(4年)を卒業し免許を取得する場合、実務+試験合格+免許登録、もしくは実務A+試験合格+実務B+免許登録の流れで登録申請が可能になります。木造建築士に関しても、同様の方法で申請できるでしょう。

「7年間も実務経験を積むのは大変」という方は、社会人から通える専門学校もあります。

実務経験として認められている職場

実務経験を積みやすい職場は、ゼネコン・設計事務所・ハウスメーカーなどです。ゼネコンは、建築工事の元請業者としてさまざまな工事に携わります。設計部門もしくは建築部門に入り、決められた業務に関わることで実務経験を積めます。

設計事務所は、設計・工事監理が主な業務になります。設計図や図面に携われるので、建築士として非常に役に立ちます。

ハウスメーカーは、主に住宅に関する設計・施工監理・販売を行います。大手メーカーは部署が細かくわかれているため、実務経験を積むなら建築部門がおすすめです。たとえば、設計部門・積算部門・工事監理部門などが挙げられます。

実務経験は免許登録要件になった

二級建築士、木造建築士は受験資格ではなくなり、免許登録の際の要件に変わりました。卒業後に実務経験が3年以上のハードルがあり、すぐに受験することはできません。しかし、高校などで指定科目を修めて卒業すればすぐに受験が可能になり、より早く免許の取得はできるようになりました。

実務経験の対象業務が拡大された

二級建築士、木造建築士は受験資格ではなくなり、免許登録の際の要件に変わりました。卒業後に実務経験が3年以上のハードルがありすぐに受験ができませんでしたが、高校などで指定科目を修めて卒業すれば受験が可能になり、より早く免許の取得はできるようになったのです。実務経験と認められる対象の業務も拡大しました。追加になった項目を紹介します。

設計に関する業務

・建築事務所で行うトレース作業を除く標準的な設計業務
・建築事務所で行う、設計与条件整理、事業計画検討などの設計図書作成業務

建築工事指導監督業務

・法令に基づく建築工事の保険検査、適合証明、性能評価、省エネ適判などの指導監督実務

建築物の調査・評価業務

・建築事務所で行う建築物の調査、評価

行政に関する業務

・建築基準法にかかわる建築物の審査、検査、指導、解釈などの建築行政
・空き家の調査、補助金の審査業務等の住宅行政
・土地区画整理事業、市街地開発事業などの都市計画行政

教育・研究・開発に関する業務

・建築士試験の全科目指導、設計製図の教員業務
・建築物の研究(学会誌の掲載、第三者の審査が必要)
・建築士事務所で行う既存建築物の活用

実務経験は積みやすくなったものの、実務経験の申告の審査方法が厳しくなりました。建築事務所で行われたかどうかで、実務経験を証明できる第三者の条件が変わってきます。厳しくなった分、試験に合格していても実務経験にならない場合もあり得るのです。また不正が発覚すれば、登録削除や受験資格なしなどの判断を受ける場合があり、免許申請の際には注意が必要になります。

学科試験免除期間が延長された

これまでは建築士試験の学科試験に合格すると3年の有効期限があり、この有効期限の中で2回の学科試験が免除になっていました。改正で変更になった点は3年から5年に、4回の試験のうちで2回の学科試験が免除になったのです。

この改正によって、製図試験に余裕をもって取り組めるようになりました。二級建築士の試験は難しいといわれてきましたが、受験に関しても柔軟になったために、合格の確率も高くなったのです。有効期限内で実務経験を積むことも可能なので、免許をすぐに取得することもできるでしょう。

なぜ改正されたのか

建築業界は高齢化が進んでおり、状況は深刻化しています。将来、建築士不足になるのではないかと懸念されているようです。大きな社会問題にもなった『耐震偽装事件』の影響で、建築士の受験資格が厳しい内容に変わりました。建築士受験のハードルが上がり、受験者数が大幅に減少したことも建築士不足に影響しています。

緩和された点が増えたことで、建築士試験も受けやすくなりました。試験では実務経験がなければ受験資格さえありませんでしたが、実務経験が撤廃され受験資格の入口も広くなったのです。建築士法改正で規制が緩和した理由としては、試験を受けやすくすることで新しい建築士を増やしたいという目的が考えられるでしょう。
受けやすくはなりましたが、合格率・難易度は高いので受験する際はしっかり勉強して挑む必要があります。また、実務経験がない方はより基礎からしっかり身に着ける必要があるので、独学よりも通信講座を利用されることをお勧めします。

令和2年から改正された建築士試験の受験資格、変更点について紹介しました。合格率、難易度が高いといわれている二級建築士の試験も受けやすくなりましたね。指定科目を卒業した中学や高校卒業後の実務経験も短縮になり、指定科目を卒業していない人でも先に受験ができるようになりました。若い世代が活躍し高齢化がストップすれば業界は安定するでしょう。

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